スウィート・アラカルト

食後は別腹クレープ!

走るトキメキ、追いかけて。 ~アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話 感想

鍵穴するり掻いくぐり、

ぴょこぴょこ走る白うさぎ。

だけど私は知らんぷり、

きょうもこころの騙しあい。

 

 

youtu.be

TVアニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話、「はじまりのトキメキ」 。虹ヶ咲についてはスクスタ(ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS)のストーリーを履修していたため、一体どうなるのだろうかと思っていたが、予想以上であった。

 

まず、アニメ化にあたり一番の懸念事項は「プレイヤーがひとりのキャラクターとしてビジュアル化されている」ということであった。スクスタでは、プレイヤーは「あなた」としてスクールアイドルたちと深く関わっていくことになる。この際「あなた」に明確なビジュアルやボイスは無いため、各々のイメージでゲームを進める事ができた。しかし、アニメでは「高咲侑」というキャラクターが「あなた」としてスクールアイドル達と関わりを持つことになったのだ。ここが物語にどう作用していくかが推測不能であった。

 

第1話では「高咲侑」とその幼馴染である「上原歩夢」が、ショッピングモールをぶらつく場面から始まる。トランプに囲まれたディスプレイに飾られているピンクのワンピースを見た侑は、歩夢に声を掛ける。

侑「歩夢、これいいんじゃない?似合うと思うよ」

歩夢「い……いいよ、かわいいとは思うけど子どもっぽいって」

侑「そうかな?最近までよく着てたじゃん」

歩夢「小学生の時の話でしょ!……もうそういうのは卒業だよ」

アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話「はじまりのトキメキ」

そして隣に飾られている子ども用のうさ耳パーカーを見ながら、幼稚園の頃の話をするふたり。昔みたいに「あゆぴょん」ってやってみてよ、という侑に対し、歩夢は呆れと照れの混じった反応を返し、話題を切り替える。なんてことのないような、二人の日常。そんな最中、店外で何かの歓声が上がっていることに気づく。軽い気持ちで覗きに行った二人。しかし、そこでスクールアイドル「優木せつ菜」に出会ったことで、物語は大きく動き始める──。

 

 

 

 

※以下大きなネタバレを含みます※

 

 

 

 

最終的に、侑は「スクールアイドルを応援すること」、歩夢は「スクールアイドルになること」が目標となり、1話が終わったのだが、その流れが鮮やかであった。

まず、「高咲侑」のトキメキのありかについて。スクスタでの「あなた」も「スクールアイドルを応援すること」が目標なのだが、そのきっかけは「μ'sとAqours」であった。スクスタリリース当初、虹ヶ咲の展開はまだ狭く、プレイヤーのほとんどは「μ'sとAqours」が目的だったように思う(現に私もそうである)。まずは「μ'sとAqoursへの憧れ」に感情移入できる仕組みがあったことで、虹ヶ咲にもきちんと目を向けられるようになった。一方、「高咲侑」がスクールアイドルを応援したいと思ったきっかけは「優木せつ菜」である。せつ菜のパフォーマンスについては、1話序盤で早速披露されている(下記の動画はスクスタでのMVだが、アニメと同じ曲である)。

www.youtube.com

今までラブライブ!に触れてこなかった層に対しても「スクールアイドルへのトキメキ」を得られるようになっており、展開が違うからこその利点だなと感じた。また、既に虹ヶ咲を知っている層から見ても、この展開にはグッとくるものがあった。優木せつ菜は、「スクールアイドルが『大好き』で、そんな『大好き』の気持ちを世界中に溢れさせたい」と強く願い行動しているスクールアイドルである。スクスタのストーリーから察するに、アニメのせつ菜ものっぴきならない事情を抱えているのであろう。よって1話では不穏な空気が漂っているのだと思われるが、パフォーマンス自体に関しては侑と歩夢、少なくとも二人の人間を虜にしている。せつ菜の『大好き』への祈りがきちんと通じたことに嬉しくなった瞬間であった。

 

次に、「上原歩夢」のトキメキのありかについて。「なりたい自分を我慢しないでいい」と歌うせつ菜のパフォーマンスを見てトキメクも、想いを封じ込もうとする歩夢。侑がすっかりスクールアイドルに夢中になっている一方で、歩夢は以下の言葉を放つ。

「でも、私たちもう2年だし……2人で予備校通うって言ってたよね?スクールアイドルなんて追っかけてる暇ないんじゃ……」

アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話「はじまりのトキメキ」

私はこのセリフが強く印象に残っている。ラブライブ!シリーズにおいて「予備校」という単語が出てきたのはこれが初めてかもしれない、と思ったからだ(余談だが、虹ヶ咲において生徒会長は3年生以外が務めていたり、学校自体が廃校の兆しを見せないことも大きな相違点である。今までにはないタイプのリアルさが混じってくるのが印象的だ)。そしてこのセリフが、歩夢の迷いの描写のひとつだということが後に分かってくる。

1話終盤、スクールアイドル同好会が廃部になることを知った二人。「スクールアイドルを応援すること」について、「夢を追いかけている人を応援出来たら、まだ夢が無い自分にも何かがはじまるかもしれないと思った」と語る侑。なんてね、と切なく笑う彼女を見て、歩夢は自分の気持ちに再び向き合う。買い物に夢中な侑の目を盗んで見つめるのは、自分が「子どもっぽい」と一蹴したピンクのワンピース。そしてついに、決心を固めるのだった。

私、好きなの!

ピンクとか、かわいい服だって、今でも大好きだし着てみたいって思う。……自分に素直になりたい。だから、見ててほしい。

私は、スクールアイドル、やってみたい!

アニメ「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会」第1話「はじまりのトキメキ」 

youtu.be

焦がれたピンクのワンピースに身を包み、歌う歩夢。キュートなモチーフをぎゅぎゅっと詰め込んだ、パステルカラーの世界。もちろん、実際にはそんなものはなくて。しかし、それらが見えるほどの衝撃を、侑は味わったのだろう。こうして二人は手を取り合う。「スクールアイドルを応援したい」という願いと、「スクールアイドルになりたい」という願いが交わった瞬間だった。

 

 

放送直後、「Dream with You」のあまりのかわいさに私はずっと身悶えしていた。それと同時に、はじめて「無敵級*ビリーバー」を見た時の衝撃が鮮明に蘇ってきた。

youtu.be

今回の虹ヶ咲のアニメは、これまでのラブライブ!のアニメとは全く違うキャラクターデザインになっており、はじめは大変不安であった。しかし、それを払拭してくれたのがこのMVである。洗練されたデザインによってまっすぐ伝わるかわいさに、衣装の七変化。巧みな光の描写に、3Dモデルとの馴染み深さ。フォント等のお洒落さも相まって、すぐに虜になった。私はこれまでの方向性も好きなのだが、これは新規獲得が狙えるのでは!?とワクワクした覚えがある。そしてこれを他のメンバーでも見たいと思っていたため、早速見られたことが嬉しかった。さらに今回については「TVアニメの一話」であるため、色々な方に薦めやすいのも嬉しいポイントである。「『高咲侑』のトキメキのありか」でも書いたように、「今までラブライブ!に触れてこなかった層」を狙ってきているのだろうなと感じた。

また、「Dream with You」については、モチーフがずっと気になっている。トランプ・バラ園・時計等の描写から分かる通り、やはり「不思議の国のアリス」を意識しているのだろう。ローズピンクのアリスとなった歩夢。そんな彼女を不思議の国に連れ出した「白いウサギ」はきっと、幼い頃の歩夢自身で。「あゆぴょん」とはしゃいでいた頃の無邪気な自分がまだ心の中にいることに気づきながらも、目を逸らしていた歩夢。そんな彼女に目を逸らさなくてもいいんだよ、と語りかけたのが、せつ菜と侑だったのだろう。

 

 

以上が、1話の感想である。これからどのような展開になっていくのか分からないが、とにかく1話に関しては最高得点であった。2話は推し回のようなので大変ドキドキしている。かすみ……かわいいぞ……(中須かすみ彼氏人格)。

また、童話モチーフという点ではかすみんの「鏡よ鏡よ、鏡さん(スクスタキズナエピ18話)」、彼方ちゃんの「眠れる森に行きたいな(ソロ曲)」からもちょくちょく感じている点なので今後もあるのかどうか密かに注目している。エマちゃんも「アルプスの少女」だし……今期は楽しく過ごせそうである。