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普通星人は輝きたい ~ラブライブ!サンシャイン!!が照らすもの~【後編】

輝きって、一体どこから来るんだろう?

ラブライブ!サンシャイン!! 2期1話 ネクストステップ

廃校の阻止、そして「自分たちだけの輝き」を掴むため、ラブライブ!地区予選大会に出場したAqours。結果は予選敗退。テレビアニメ2期にて、舞台は2学期に突入した。「過ぎたことをいつまで言っていても仕方ない」と次のラブライブ!に向けて練習を再開するAqours。しかしそんな彼女たちに、正式に廃校が決定したとの知らせが届く。意気消沈した9人だったが、それでも絶対に諦めたくない、奇跡を起こしてみせると決意を新たにするのであった。

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普通星人の輝き

「今年の終わりまでに入学希望者が100人集まれば、廃校を阻止できる」。この条件を取り付けた千歌たちは、二度目のラブライブ!地区予選大会に向けて動き始める。入学希望者を集めるラストチャンスとなるこの大会に、「自分たちだけの輝き」を形にしたいと改めて口にする千歌。その結果、高難易度のロンダートバク転に挑戦することになるが、なかなか成功することができない。何度も何度も挑戦しながら涙を流す千歌に、梨子と曜は尋ねる。

曜:まだ自分は普通だって思ってる?

梨子:普通怪獣ちかちーで、リーダーなのにみんなに助けられて。ここまで来たのに、自分は何もできないって。ちがう?

ラブライブ!サンシャイン!! 2期6話 Aqours WAVE

だってそうでしょ、と弱々しく答える千歌に、ふたりはやさしく声をかける。「今のAqoursができたのは誰のおかげか」、「みんながスクールアイドルを始めたきっかけは誰なのか」。「千歌がいたからこそ今があること」を伝えた梨子と曜は、更に言葉を投げかける。

梨子:自分の事を普通だって思っている人が、諦めずに挑み続ける。それができるってすごいことよ。すごい勇気が必要だと思う!

曜:そんな千歌ちゃんだから、みんな頑張ろうって思える。Aqoursをやってみようって、思えたんだよ。

ラブライブ!サンシャイン!! 2期6話 Aqours WAVE

このシーンを初めて見たとき、私は「救い」だと思った。普通の人間であっても、諦めずに何かに挑み続ければ、それは長所に成り得る。「普通星人」である私は、この言葉に大変勇気づけられた。自分がこの評価を得るにはまだまだ努力が足りないが、いずれこうなれるようにと強く心に刻むようになった。

また、この言葉は「高海千歌自身の輝き」を的確に表している表現でもある。「普通星人」、「普通怪獣」だと自称しつつも、決して夢は捨てない。だからこそ応援したくなる。まさに、「みんなで叶える物語」を導く女の子。

そしてこの言葉を得た千歌は、見事ロンダートバク転を成功させるのだ。

 

 

 

千歌たちの結論

これまで様々な「輝き」について述べてきたが、結局「Aqoursだけの輝き」とは何だったのか。2期最終話、「私たちの輝き」にて千歌は以下のように述べている。

分かった。私が探していた輝き。私たちの輝き。あがいてあがいてあがきまくって、やっと分かった。最初からあったんだ、はじめて見たあの時から。何もかも、一歩一歩。私たちが過ごした時間の全てが、それが輝きだったんだ。探していた私たちの、輝きだったんだ。

ラブライブ!サンシャイン!! 2期13話 私たちの輝き

「自分たちだけの輝き」とは、「自分たちの過ごした時間全て」のこと。これは一体どういうことなのか。

前回突破できなかった地区予選大会をクリアし、決勝に進んだAqoursは、見事優勝を果たす。廃校については阻止できなかったが、「母校の名前をラブライブ!の歴史に刻むこと」で学校を救うことはできた。閉校式にて、生徒たちが千歌に声を掛ける。

生徒:あの時、私たちから見えてた千歌たち。輝いてたなあ……本当、目開けてられないくらい!

千歌:私たちにも見えてたよ、輝いてるみんなが。会場いっぱいに広がる、みんなの光が!

生徒:じゃあ、全部輝いてたんだ!

千歌:うん、全部輝いてた!

ラブライブ!サンシャイン!! 2期13話 私たちの輝き

このような会話を交わした千歌だったが、自分は本当に「自分たちだけの輝き」を見つけられたのか、確証が持てない。浜辺で蹲る千歌を見守る、母と姉。不意に、母親が紙飛行機を飛ばす。飛ばしてもすぐに落ちる、紙飛行機。千歌が飛ばしてみても、その結果は同じだった。地面に落ちるそれを見ながら、千歌は母に問いかける。

千歌:私、見つけたんだよね?私たちだけの輝き。あそこにあったんだよね?

母:ほんとにそう思ってる?

姉:何度でも飛ばせばいいのよ、千歌ちゃん。

母:本気でぶつかって感じた気持ちの先に、答えはあったはずだよ。諦めなかった千歌には、きっと何かが待ってるよ。

ラブライブ!サンシャイン!! 2期13話 私たちの輝き

千歌はもう一度、祈りを込めて紙飛行機を飛ばす。どこからか強い風が吹き、ふわりと舞い上がる紙飛行機。必死に追いかけた結果たどり着いたのは、別れを告げたはずの校舎だった。次々と蘇る、これまでの日常。頬を伝う涙。

このあと、千歌は冒頭の結論を導き出している。おそらく彼女は、これまでの思い出すべてを輝かしく感じたのだろう。そのため、ラブライブ!決勝のステージだけを「輝き」と呼ぶことに違和感を感じたのではないだろうか。「ミライへ向かうために重ねたイマ」、すべてが「輝き」。それは彼女がμ'sを初めて見た時から始まっている。だからこそ「輝き」は、最初からあったものなのだ。また、これまで彼女たちが「輝き」と呼んだものも、やはり「輝き」なのだろう。そういった「小さな輝き」が積み重なった結果、「世界にひとつだけの大きな輝き」が出来上がった。積み上げたものすべてが同じものなどない。このような理由で、「自分たちの過ごした時間全て」が「自分たちだけの輝き」となったのではないだろうか。

 

 

 

声優ユニットとしてのAqours

以上が、テレビアニメで語られた「輝き」の話である。ここからは視点を変えて、別コンテンツから見た「Aqoursの輝き」について紹介する。

Aqoursはμ'sと同様に、声優ユニットとしての活動も行っている。μ'sも成し遂げた紅白出場東京ドーム2daysはもちろん、FNS歌謡祭やCDTV等の歌番組への多数出演、ファンクラブの設立など精力的な活動を展開している。

そんな声優ユニットとしての「Aqoursの輝き」であるが、なんといってもパフォーマンス力の高さである。その水準は声優界トップレベルと言っても過言ではないだろう。

まず、アニメの再現率の高さ。アニメ映像と同じダンスを、高純度のシンクロ率で披露する。これはμ'sも同様の点ではあるが、Aqoursはそれ以外のアプローチも用いて更に再現度を高めている。

例えば1stライブでの「想いよひとつになれ」。桜内梨子役の逢田梨香子さんが、作中の梨子と同様にピアノを披露している。なお、逢田さんにとってはこれがピアノ初挑戦。そのため、1stライブからファンの度肝を抜くこととなった。

youtu.be

そして、3rdライブでの「MIRACLE WAVE」。前述「普通星人の輝き」でも紹介した、ロンダートバク転を取り入れたパフォーマンスだ。作中でも高難易度と称されるこの技を、高海千歌役の伊波杏樹さんが見事成し遂げてみせた。

youtu.be

また、アニメ映像のない曲にも、魅力的なものはたくさんある。とびきりキュートな「少女以上の恋がしたい」に、バリバリのダンスナンバーである「Daydream Warrior」。個性豊かなユニット曲たちも捨てがたい。

youtu.be

このように、例えアニメを知らなくても楽しめるのが彼女達のライブであり、声優ユニットAqoursとしての輝きなのではないかと考えている。



 

μ's・ニジガクメンバーから見た輝き

最後に、アプリゲーム内で描写される「Aqoursの輝き」について紹介する。もしμ'sとAqoursが同時期にスクールアイドルとして活動していたらどうなるのか。それを叶えたゲームが、「ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS(スクスタ)」だ。スクスタでは、μ'sとAqoursの他に「虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(通称:ニジガク)」が登場する。プレイヤーはニジガクの部長となり、スクールアイドルをサポートする役回りとなる。このゲームでのAqoursは、「自分たちだけの輝き」をまだ見つけられていない。Aqoursの魅力の秘密を尋ねたプレイヤーに対して、千歌たちは以下の会話を繰り広げる。

千歌:私達の魅力……それは……何だろ?

曜:改めて考えてみると分かんないもんだね!

千歌:多分、私達もそれを探してるんだと思う。最初はね、μ'sに憧れてスクールアイドルになったの。宝石みたいにキラッキラに輝いてて、私もああなりたいって思ったんだ。でも、だからってμ'sの真似をするのは違うって気付いた。じゃあ、私達らしく輝くにはどうすればいいのか、いつも考えてるの。

スクスタ メインストーリー第3章第3話 Aqoursの謎

また、他のメンバーにも「輝き」について尋ねるプレイヤー。それに対して、花丸たちはこう答えている。

花丸:ふふっ。あなたも千歌ちゃんの洗礼を受けたんだねぇ。……マルも、ずっと探してるずら。Aqoursだけの輝き。

ルビィ:いつかルビィ達だけの「輝き」を見つけて、ルビィ達にしか出来ないライブをやりたい。そう思ってるよ。

スクスタ メインストーリー第3章第5話 Aqoursに会いに行こう!②

このように、自身は結論を出せていないAqours。しかし他のスクールアイドルによって、その魅力が語られる。

沼津での合同合宿のさなか、早朝トレーニングに駆け出すAqours。ただでさえ足を取られる砂浜で、ダンス練習をする彼女たち。その様子を盗み見ていたμ'sとニジガクメンバーは、こっそり言葉を交わす。

穂乃果:あんなフォーメーションダンス、私たちもしてみたいな~!

せつ菜:全員の呼吸がぴったり合ってこそのダンスですよね。

ことり:うん。お互いのことをわかりあってなきゃ無理だと思う。……凄い信頼関係だよ。

果林:素敵な光景だわ。見ているだけで体が熱くなっていく

絵里:でも、ちょっと悔しいわね……。

穂乃果:うん、こんな光景を見せられたら、燃えてきちゃうよね。

スクスタ メインストーリー第12章第6話 Aqoursの力!

同業者から見ても分かる、高いパフォーマンス性。これはまさに、声優ライブと合わせて考えてみても納得の評価である。そして、観客を自然と熱くさせる力。「自分たちだけの輝き」を掴むためひたむきに走るその姿は、共鳴を齎す強い光となり、我々に降り注ぐ。かつて彼女がμ'sに「輝き」を見出したように、今はAqours「輝き」そのものとなっているのだ。

 

 

 

普通星人は輝きたい

大好きなものへの憧れに共感し、踏み込んだ、ラブライブ!サンシャイン!!の世界。その光は、今も私を照らし続けている。いつか私も、「自分だけの輝き」を誇れる日が来ますように。

 

普通星人n号は、「イマ」を重ね続ける。