スウィート・アラカルト

食後は別腹クレープ!

めぐる季節と、みどり色のPAGES

春夏秋冬とはいつなのか。私の中では、3月〜5月が春・6月〜8月が夏・9月〜11月が秋・12月〜2月が冬、というイメージがある。しかし現実には、季節の変わり目は見え辛い。冬服をずるずると引きずった結果、春服の機会がまともに無いままに夏を迎えることになるのが毎年の恒例である。よって、「この日はどの季節なのか」という問いには熟考する。11月27日もそうなってしまう日付のひとつだ。しかしそんな日に生まれた彼が、とびきりの聴かせどころを担当している曲がある。「カラクリだらけのテンダネス/すっぴんKISS」通常版 収録、「冬が来たよ」だ。

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ソロパートがリレーされていくこの曲は、聡くんの以下のパートで締めくくられる。

ここからまた歩き始める物語

このパートをはじめて聴いた時、ふたつの感情がないまぜになった。ひとつは、この曲のメインに彼が置かれることへの喜び。非常においしいパートがあることがまず嬉しい。Birthday for youを初めて聴いた時のときめきがあった。冬のはじまりの曲に11月末生まれの彼が選ばれることは大変納得であるし、透き通ったやさしい歌声が、冬の澄んだ空気にぴったりである。もうひとつは、今共に歩く道が見えないことへの悲しみ。なぜこのタイミングで、と思った。しかしレコーディングの際も彼自身こうなるとは思っていなかったはずだ。それが尚更残酷だった。

この複雑な感情から1ヶ月、休止後初のCDとコンサートが発表となった。Sexy Zone定番の春ツアー。つまりは、冬が去ってしまうということである。すてきな冬の曲を歌う彼が、一緒に置き去りにされてしまいそうで怖かった。春なんて来るな、とも思った。

 

しかし容赦なく季節は巡る。アルバムを初めて聴いた時の感想は、前回の記事の通りである。ちゃんと向き合うことが出来ず、ただただ苦しかった。コンサートのことを考えるのも辛かったが、何も知らずにいることの方が怖い気持ちがあり、初日のレポをすぐに漁った。セクベアペンラに、映像で5人になる演出。最後の挨拶で泣きそうな彼らと、勝利くんの言葉。現状でできることの精一杯を為す4人に対して、きちんと楽しめない自分が不甲斐なかった。

また、3/30のらじらー!セクゾ担当最終回。これまで意図的に話題に出さないようにしていたであろう彼らが、ごく自然に聡くんの名前を出したことに驚いた。らじらー!は自分がSexy Zoneを好きになったきっかけのひとつでもあったため、終わってしまうことが受け入れ難かったが、楽しい最終回を迎えられたことには救われた。

そして親交のある同担さんから楽しかった、という報告を聞くこともでき、いよいよ自分の番だなと気を引き締めた。友人がオーラスに入りたいとのことで、私名義で応募した和歌山公演。当選したのは追加公演の方だったため、完全なオーラスでは無かったが最終日だった。おかげで各地のレポを読む猶予が与えられていた。聡くんの想いをちゃんと連れて、5人でトップを目指す。この決意は痛いほど聞こえていた。それでもやはり、自分がどんな感じ方をするのか不安でいっぱいになっていた。公演直前の冠番組では、冒頭でいきなり動揺してしまった。涙目で話し合う彼らの姿をちらっと見ただけで、心の底の思いが引き出されてしまったのだ。半年前のあの日以来、声を上げて泣いた。

 

精神不安定なまま5月25日となった。新品のワンピース、入念なメイク、色々なおもいの詰まったコンサートバッグ。去年のリペコンを思い出していた。身の整え方に四苦八苦し、慣れないファン層にどきどきしながら行った初めてのコンサート。この一年を経て、おしゃれの仕方も多少上達したと信じたい。そして出発する直前、去年の顔うちわをバッグに入れた。初めて手に取った時、あまりのきらきらっぷりに全く目を合わせることができず、ずっと裏面ばかりを眺めていた思い出の品。家に持ち帰ってからもドキドキは収まらなかったので、一年間ずっと部屋の奥にしまい込んでいた。今回のコンサートが発表されたとき、ペンライトを緑色にするのは認められないだろう、うちわを持っていくのはもってのほかだろうと考え込んでいたが、結局持っていくことに決めた。様々なレポを読み、それが許される温かな現場であるという判断を下したためである。実際現場に着いてからも、同様の判断をされていた方がちらほらいらっしゃり安心した。ぎゅうぎゅうの列の中デジチケ発券をし、当てたのはアリーナ席。セクゾコンで初めてのアリーナとなった。会場に入り、ステージセットのかわいさにずるいな、と思った。高台に小さな鐘楼のあるアンティークな街並み。悔しいが大変自分好みである。ペンライトとうちわを抱え、ざわつく胸を必死に抑えながら開演を待った。

赤いサイレンが回り始める。湧き上がる高揚感と、呼応する罪悪感。スタンドでは味わえなかったレーザーの鋭さが目に刺さる。指名手配犯として現れる4人。改めて数を思い知らされ、瞳が潤んだ。たくさんの感情が混じり合う中、ついに「カラクリだらけのテンダネス」が流れ出した。序盤数曲については、正直なところあまり覚えていない。「楽しみたいけれど楽しんでしまっていいんだろうか」という疑問がずっと頭の中を駆け巡っていた。しかし、ある曲にて答えを見出すことになる。

「恋がはじまるよーー!!!」
私は三浦徳子先生の詞が大好きである。突飛だけれど説得力があってとにかく頭に残る、かわいくて楽しいフレーズたち。このような詞を歌う聡くんが好きである故に、今回のアルバムにも提供されているのかと複雑な気持ちになったのを覚えている。演出についてはレポで散々読んではいたが、いざ目の当たりにすると想像以上に楽しくて困った。勝利くんの小学生姿が似合いすぎている。長身でアンバランスな出来になっている健人くん風磨くんマリウスくんについても、それはそれでかわいい。全力ではしゃぐ彼らを見て、もう楽しむしかないなと思った。

これ以降はしっかりと様々な演出を楽しむことができた。特に印象に残っているのはマリウスくんのソロ曲、「Keep On」である。”聴いて”いただけの時は、「Deja-vu」のようなスタイリッシュな演出になるのかと思っていたが、カラフルでオシャレな演出だったため驚いた。様々な衣装に身を包んだたくさんのマリウスくんがディスプレイを埋め尽くし、ステージ上のマリウスくんとコラボする。目が足りなくて困る。これだけで円盤が欲しくなるほど好きな演出だった。また、ソロ曲以外でもマリウスくんを見がちであった。表情筋の豊かさと、長身を生かした優雅な動きが素敵である。個人的にはダンスが細やかな健人くんを中心に見ることになると思っていたため、これは大きな発見だった。

あっという間に時間は過ぎ、最後の「いつまでもいつまでも」。来てくれた人も来れなかった人もありがとう、と言う勝利くんは涙目で、胸がぎゅっとなった。今回のコンサートは、彼らの”愛”を感じられる場であった。緑色のペンライトを掲げることを許容してくれた、それがなによりも救いだった。一番つらいであろうSexy Zone自身が、最も大きな愛を持っていた。

そして終演後、真っ先に出てきた言葉は「楽しかった」だった。もし自分がSexy Zoneのことを何も知らないままにコンサートを見ても、こういう感想になるのだろうと思った。少し離れた目線でそう感じられたことにはほっとした。
しかし、どうしても満たされないものも間違いなくあった。胸がはち切れてしまいそうな程のドキドキとトキメキと。あの感情は奇跡的で、当たり前ではない。そのことを改めて考えさせられた。

 

この日を終え、ずるずると引きずっていた想いをようやく整理し始めた。やっと春がやってきたと感じたが、既にもう6月である。春服の機会がまともに無いままに夏を迎える。まるで自分の衣替えのようだなと苦笑した。

 

ananのSexy Zoneカレンダーが6・7月分になり、未知の彼を久しぶりに見ることができた。やっぱり、どうしたって大好きだ。